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ガラス器具を安全に使用するために

5.摺り合わせのある器具を取り扱う場合
(1)摺り合わせのある器具を保管する場合、摺り合わせ部に残留物がないように充分に洗浄した上、紙片をはさんでおくと摺り合わせ部が固着することがありません。
(2)もし摺り合わせ部が外れなくなった場合は、以下の方法を用いて外して下さい。その際、決して無理な力を加えないで下さい。

a. 摺り合わせオス部を注意深く固定する。
b. 回しながら摺り合わせメス部のフランジ部を木の棒などでそっとたたく。
c. 摺り合わせメス部のみをブンゼンバーナーの弱い炎で回しながら15~20秒加熱する。
d.そっとねじって引っぱる。

6.ガラス製品をオートクレーブする場合
(1)使用前にガラス製品に傷・カケのないことを確認する。
(2)オートクレーブするときは、キャップを外すかキャップを載せる程度まで完全に緩めてアルミ箔で密閉されないよう固定する。
(3)オートクレーブの側壁・底面の部分(金属)に直接ビンが触れないようにする。
(4)オートクレーブから取り出すときは、常温まで下げてから取り出す。
(5)多量の水をオートクレーブしたとき、水の攪拌はビンを水浴しながら行う。
(6)オートクレーブは、急激に温度を下げない(強制排気など)。
(7)パッキンを貼りつけているキャップ類は、温度変化や劣化により繰返しのオートクレーブでパッキンがはがれる事があります。新しいキャップに交換頂くか所定の接着剤を使用して貼り直してご使用下さい。
(8)破損、やけどに備え安全メガネ、手袋、保護具を着用下さい。

7.滅菌法について
ガラス容器の滅菌法には、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、乾熱滅菌が主に用いられます。高圧蒸気滅菌は、培地の滅菌など、内容物や付属品(キャップ)が熱にあまり強くない場合に用い、内容物の滅菌を安全にするためには、フタをゆるめておくことが必要です。通常はオートクレーブを用い、121℃ 15~30分の条件で行います。乾熱滅菌は、ガラス、金属の滅菌に用います(プラスチック製品は、その耐熱性に注意して下さい)。通常は、乾熱滅菌器を用い、160~170℃ 2~4時間、もしくは、180~200℃ 0.5~1時間(薬局方による)の条件で行います。

8.発熱性物質(pyrogen)の除去条件
注射液などでは、各種の細菌、カビ、ウィルスが産生する発熱性物質(pyrogen、体内に入って発熱をおこす物質の総称)の汚染が問題になります。通常、これらの物質は、メンブレンフィルターの通過性も高く、通常の滅菌法では、除去できません。ガラス容器の発熱性物質を除去(パイロジェンフリー)するためには、250℃ 30分以上の乾熱処理が必要です(日本薬局方による)。

9.洗浄剤について

ガラス器具の洗浄剤は、洗浄剤成分としてクロム酸、硫酸混液の使用が困難になったため、付着したタンパクなどの有機物を除去できるようにpHを高くした品種(強アルカリ)も数多く市販されいてます。ガラスは一般的に酸に強くアルカリに弱い性質を示すために市販の洗浄剤の中にはガラス表面を白濁させたり白色マークを脱落させてしまうものもあります。弊社で試験した結果、ガラスの洗浄に適した洗剤の例を下に記します。

1.IWAKITE-32製品に適した洗浄剤の一例(白濁などが発生しにくい洗浄剤)
(1)スキャット20X-N(第一クリーンケミカル)
(2)エキストランMA02(メルク・ジャパン)
AP21、22(メルク・ジャパン)
(3)CLEAN99-L100(クリーンケミカル)
CLEAN99-NL(クリーンケミカル)
(4)コンタミノン(和光純薬)

2.pH値と白濁との関係
(1)洗浄剤のpH値は範囲が広く、品種によりpH2~12.5となっています。
(2)pH7以下の品種は白濁の発生はありません。
(3)約50℃で洗浄した場合、pH10~12.5の品種の一部に白濁の発生があり、pH10以下の品種に白濁の発生はありません。
(4)煮沸洗浄した場合、pH8以上のほとんどの品種は白濁を発生します。

3.洗浄時に留意して頂きたい事項
(1)IWAKITE-32製品の表面を白濁させないためには、洗浄液の温度をできるだけ、洗剤メーカーが指定した温度(一般には50℃前後)で使用して下さい。
(2)ガラス製品の使用後、オートクレーブなどで滅菌してから洗浄する場合、汚れが固着し洗浄能率が低下することがあります。そこで洗浄を早めるため加温などが行われておりますが、これはガラス表面の白濁を早める原因となります。洗浄剤の多くはアルカリ性を示し、ガラスは高温のアルカリに弱いためです。


4.IWAKITE-32製品の簡便洗浄剤について

(1)一般の簡便洗浄剤として中性洗剤が使われておりますが、脂肪類の洗浄能力からみれば「洗濯ソーダ(Na2CO3・10H2O)」が適しております。
(2)ガラス器具の洗浄に研磨剤入りスポンジ・金属たわし・クレンザーを使うことは、ガラス表面にキズをつけることになり、器具の寿命を短くしますので、お薦めできません。



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